ブラックリストには掲載される?債務整理法のひとつ・個人再生のメリットやリスクについて調べています。
連帯保証人となっていない家族に直接的かつ、大きな迷惑がかかることはありません。
家族の信用情報に傷がつくこともないでしょう。
ただしケースによっては、家族と共有している資産を手放さざるを得なくなる場合もあります。
個人再生は裁判所に提出する書類の中に、家計の収支報告や全体の収入証明の要素が多く含まれています。
またもし夫が個人再生を申し立てた場合、共働きの妻(パート・アルバイトを含む)の収入も申告しなくてはならなくなります。
同居している家族に内緒で手続きを進めることは、事実上困難と言えるでしょう。
個人再生は債務整理のひとつなので、ブラックリストには掲載されます(信用情報機関に登録される)。
個人再生を行ったことを一般の人に知られることはありませんが、クレジットカード作成やローン申請は、5~10年間できなくなります。
勤務先にバレる可能性は低くなっています。
ただし労金や共済組合、また勤務先などから直接借入を行っている場合は、自動的に個人再生の事実が伝わってしまいます。
個人再生は自己破産と違い「住宅ローンだけは支払い続けて良い」という条項があります。
このため「ローン支払い中の家を手放し、引っ越さなければならない」という事態は避けられます。
その代わり減額は認められませんので、個人再生手続前と同額を払い続けなければなりません。
また延滞も認められませんので、もしすでに延滞がある場合は、個人再生手続が終わる前に、延滞分を完済しておかなければならなくなります。
さらにすでにローン完済済みの持ち家に関しては、財産とみなされ、その価値額が返済額に計上されてしまいます。
こうなると借金の清算のために、手放さざるを得なくなります。
借金の額によって圧縮率は異なりますが、最大で10分の1まで減らすことができます。個人再生の手続きをしている間も負債額や資産の状況によって決められた「最低弁済額」を支払う必要がありますが、算出方法は大きく分けて3つあります。
負債額によって支払い額を決める方法です。負債額に対する最低弁済額は以下のように区分されています。
住宅などの不動産や車など、裁判所が財産と判断したものの価値の総額
収入から必要最低限の生活費を差し引いた金額の2倍の額。ここでいう「必要最低限の生活費」とは住民税や所得税といった税金や社会保険料等を指します。
1~3の方法で算出した額を比較し、いずれか高い方の金額を原則として3年間にわたって支払うことになります。たとえ財産が少なくても、一定以上の給与所得がある場合は最低弁済額が高くなりますので要注意です。
債務整理のひとつである自己破産の場合、借金の理由によっては申し立てが却下されることがあります。
たとえば株やFXといった投資やパチンコ、競馬などのギャンブル、高額な買い物を繰り返しての浪費などの場合、「免責不許可事由」に該当するため自己破産を申し立てても認めてもらえません。
そのため、同じ債務整理である個人再生も借金の理由によっては申し立てを却下されるのでは…と思い込んでいる人が多いのですが、実は個人再生は借金の理由に関係なく申し立てを行うことができます。
自己破産は最終手段とよく言われますが、投資やギャンブル、浪費に限っては自己破産の段階まで行くとかえって認められにくいので、個人再生で債務整理するのが理想と言えます。
個人再生をすると、信用情報に個人再生手続きを行った事実が残ります。
また、国が交付する広報誌のようなもので、法律や政令、条約についての情報や官庁の報告などが掲載されています。
信用情報に関しては金融機関は自由に閲覧することができるものの、一般人は本人以外情報を開示してもらえないため、第三者が勝手に情報を閲覧することはできません。
ただ、官報については官報販売所で誰でも購入することができますし、独立行政法人国立印刷局によるインターネット版の官報は直近30日分の情報を無料閲覧することが可能です。
そのため、「個人再生したことがバレて職業制限を受けるのでは…」と不安になる方は少なくないのですが、官報を見る人は市役所の人間や金融機関関係の人間が主で、まず一般の方が見る機会はありません。
ネット版にしても30日間しか閲覧できませんので、上司や人事担当者がたまたま情報を見てしまうという可能性はかなり低いと言えるでしょう。
たとえ個人再生したことが会社の人間にバレてしまったとしても、それで解雇されるということはありません。
逆に個人再生したことを理由にクビを言い渡された場合、不当解雇にあたりますので、弁護士に相談した方がよいでしょう。
一般的に住宅ローンを組んで取得した住居はローンの担保として抵当にかけられているため、債務整理の対象になった場合、自宅を差し押さえられてしまうことになります。
しかし個人再生の場合、「住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)」を利用すれば、住宅ローンを債務整理の対象からはずすことが可能です。
その場合、住宅は差し押さえられる心配がなくなり、住居はしっかり確保できます。
ただ、債務整理の対象からはずれるということは、減額&分割払いも適用不可になるということです。
ローンの総額はもちろん、毎月の支払額も債務整理前と変わりませんので、負担を減らすことはできません。
もちろん他の借金を整理するぶん、以前より支払いの負担は楽になりますが、借金の中でも住宅ローンが占める割合は大きいので、住宅ローン特則を利用する場合は債務整理後もきちんと支払いを続けていけるかどうかしっかり検討することが大切です。
個人再生は自己破産に比べると制約が少ないため、申し立てを行えば認められる確率が高いと言えます。
ただ、100%認められるかと言うとそういうわけではなく、場合によっては申し立てが棄却されることもあります。
民事再生法第25条によると、以下4つの条件のうちいずれかに該当した場合、個人再生手続きの申し立ては棄却されなければならないと定められています。
順番に説明していくと、まず1ですが個人再生の手続きを開始を開始するには以下の費用が必要となります。
これらは裁判所に支払うもので、予納金と言います。個人再生は基本的に一定の支払い能力を有する人を対象とした債務整理なので、予納金が支払えないと判断された場合、申し立てが棄却されることになります。
次に2ですが、これは個人再生とは別に破産手続や特別精算手続を行っている最中で、そちらのほうが債権者にとって有利になる場合は申し立てを行っても認めてもらえません。
そして3ですが、個人再生は債務整理後、再生計画案に則って債務の弁済を行っていく必要があります。
そのため、無謀な再生計画案は棄却の対象となるのですが、最低弁済額は債務の総額によって決められるため、通常であれば再生計画案の作成、認可の段階で申し立てが棄却されることはないでしょう。
最後の4における「不当な目的」とは、債権者からの取り立てを回避する目的で申し立てが行われた場合や、債権の意思がなく、単純に破産から逃れたい一心で申し立てが行われた場合などを指します。
個人再生は借金を減額&分割するかわりに、最低弁済額をきちんと支払っていくことを条件としています。
それにもかかわらず弁済が滞ったり、延滞が長期間に渡ったりした場合、債権者側は「再生計画が遵守されていない」と判断し、再生計画の取り消しを申し立ててくることがあります。
これを再生計画の廃止と言い、もし申し立てが認められた場合、せっかく認められた再生計画が白紙に戻されてしまいます。
そうなると自己破産するより他に方法がなくなってしまいますので、最低弁済額はしっかり支払っていくよう心がけましょう。
1968年、地元名古屋生まれ。愛知県弁護士会所属。企業から個人の法律相談まで、①親切・丁寧、②迅速、③適切・適正をモットーに幅広く対応。任意整理、個人再生、過払い金返還請求など債務整理に関して幅広く対応しており、難しいケースでも最適な方法で解決に導いてくれると評判です。面談・相談は、何度でも無料。どんな借金の悩みも気軽に相談できます。
このサイトの監修アーク法律事務所