自己破産をするとき、債務者の財産を処分することが必要です。この自己破産に伴う財産処分に生命保険の解約戻返金が含まれます。ここでは、債務整理時に生命保険の解約が必要なケースと債務整理後の生命保険加入について解説しています。
任意整理は、対象とする債務を選択することが可能です。そして、裁判外で債権者と債務者が交渉し、将来の利息や遅延損害金をカットし、残りの元本などを返済する債務整理の方法です。
裁判上の財産の差押え手続きはなく、生命保険を解約してその解約返戻金を返済に充てるような強制はありません。そのため、任意整理を行う場合は生命保険を解約する必要はありません。
しかし任意整理後の元本の残金を返済するときに、生命保険を解約し解約戻返金を債権者への返済に充てることは可能です。
個人再生は、裁判上で債務を大幅に減額できる債務整理の方法です。住宅資金特別条項を利用すれば、マイホームを残すことができます。大幅に借金の減額ができ自宅を残せる債務整理の方法ですが、個人再生の対象を選択することはできません。また、個人再生は自己破産と異なり、3年程度で減額した借金を返済することが必要です。
個人再生をする場合は生命保険を解約する必要はないですが、「清算価値保障の原則」があるため、自己破産時の債権者への配当金額以上を弁済することが必要です。この原則があるため、高額な解約返戻金がある場合は、個人再生後の支払金額は上がってしまいます。個人再生は、生命保険の解約ありませんが、支払額の問題に注意が必要です。
自己破産は、申立人の数カ月程度の生活費を除いて、申立人の財産を処分し、債権者に配当することが必要です。解約戻返金が20万円を超える生命保険や積立型の生命保険の場合は、自己破産時の処分される財産になります。次に、生命保険の解約の必要性を防ぐ方法について考えてみましょう。
自己破産を申し立てるとき、20万円以上の解約返戻金があるならば生命保険を解約することが必要です。しかし、生命保険の再加入が難しいので保険解約を防ぎたい場合があります。ここで、自己破産による保険の解約を防ぐ方法について紹介します。
裁判所に自由財産の拡張を求める方法があります。自由財産は自己破産をしても手元に残せる財産です。保険契約を継続することに合理的な理由があることを示します。例えば、保険解約によって大きな影響がでることを示すなどが必要です。
保険会社の契約者貸付を利用する方法があります。解約払戻金の前払いとみなされ、解約払戻金を少なくすることができます。解約払戻金から契約者貸付で借りた額が20万円以下であれば、自己破産時に保険を解約する必要がありません。
解約払戻金相当額の納付をすることで、生命保険の解約による換金を防ぐ方法があります。金銭的に余裕がある場合に活用できる制度です。
債務整理後に解約する必要のある生命保険は種類やケースによって異なります。ここでは、債務整理後に解約が必要になる生命保険やケースについて考えていきます。
保険には「掛け捨て型」と「積立型」があります。「掛け捨て型」は解約払戻金がほとんどないため、債務整理時に解約が必要なのは「積立型」です。「積立型」は資産形成的な要素もあり、解約払戻金が大きくなります。
「積立型」の生命保険ならば、必ず解約しなければいけない訳ではありません。裁判所によっても異なりますが、解約払戻金の合計が20万円を超える場合に解約が必要になります。
債務整理のとき問題になるのは、裁判所への申立人名義の生命保険です。基本的に家族名義の生命保険は影響ありません。しかし、親が子供ために生命保険を積立て子供が自己破産する場合は、生命保険の解約払戻金は子供の財産とみなされ、解約の必要性が出ることが一般的です。この名義の決定は複雑であるため、弁護士などの専門家に相談することが必要です。
債務整理時に生命保険を解約し、生命保険に再度加入することは可能です。生命保険加入は与信取引に該当しまいからです。
債務整理すると信用情報機関のブラックリストに登録され、カードやローン審査に問題が出ます。しかし、カードやローンの契約は与信取引に該当しますが、生命保険の加入は与信取引に該当せずブラックリスト登録時でも問題ありません。
1968年、地元名古屋生まれ。愛知県弁護士会所属。企業から個人の法律相談まで、①親切・丁寧、②迅速、③適切・適正をモットーに幅広く対応。任意整理、個人再生、過払い金返還請求など債務整理に関して幅広く対応しており、難しいケースでも最適な方法で解決に導いてくれると評判です。面談・相談は、何度でも無料。どんな借金の悩みも気軽に相談できます。
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